武道の世界・特に相撲の世界では、練習することを
稽古と呼ぶことを良く耳にすると思う。
他のスポーツで普通に行われる練習では、
学んだ基礎をひたすら繰り返し行いながら
個々の技術・体力を高めることを目的としているのに対し
稽古では、師の教えから理想の形に近づけるため
日常の立ち振る舞い精神を含め鍛錬する。
なにより挫折と成功をより多く経験を積む事により
技を磨きながら、人として成長させるものと考えられているらしい。
私達の佐野日大ラグビー部は、高校に入るまでボールに触れたことも
ルールさえも知らない未経験の選手が多く、3年間通して
師である監督と仲間と共に生活の中で一から学び、人としてラガーマンとして
大きく成長していくことが特徴とも言える・・・
私達は、今年前半 春の関東新人ラグビー大会を始めとして
勝利するたびにGIANT KILLING・奇跡・ 大金星と多くの方々から賞賛していただいた。
アニメの題名としても使われ
”GIANT KILLING”とても心地の良い言葉に思える。
しかし、訳すまでもなく大番狂わせを意味するものであり
勝利はおろか、引き分けすら危ういと心配していたチームが
大方の予想を覆した、そのとき・その一瞬のみに贈られた言葉であることを
理解し真摯に受け止めなければならない。
確かに勝利した事実について記録に留まるが、過去を振り返る時期でなく
その戦歴の上に座するときでもない。
数々の強豪校にとっても、この先ずっと次に戦ったならば
大番狂わせ・奇跡は2度起こさせることは無いと戦いを挑んでくるだろう。
私達には、その準備が出来ているのだろうか
この夏以降、甘い水で腹いっぱいに満たされてはいなかったか
反省しつつも
この夏以降、どれだけ多くの戦いを繰り返し
苦い水を飲み続けたのか
それは、自信をつけるには程遠い戦いであったかもしれない
それでも決勝の舞台に立つ
今 2018年花園予選決勝
舞台は、整った・・・
”かちまけ”の向こうにある、彼らを見守る私達には予想出来無い
稽古の成果を披露してくれることを期待している。
終了のホイッスルが鳴り響くとき、堂々とした姿を私達に見せてほしい・・・
ウルフと呼ばれた元横綱千代の富士は、こんな言葉を残した。
勝負の世界には、ライバルがつきものであり
頑張って追い越そうともがき苦しむことで一歩づつちかずく
過程で大きな壁に塞がれる
とても勝てそうに思えない相手に一歩でも近づこうとぶつかっていく
そうすると自分が勝てるポイントが見つかってくる。
「今日いい稽古をしたからって明日強くなるわけじゃない。
でも、その稽古は2年先、3年先に必ず報われる。
自分を信じてやるしかない。大切なのは信念だよ」
長い歴史や先人の教えを鑑み、敬意を表してこれを継承し、
伝え、努力して身に付けようとすること
ウルフと呼ばれた横綱
そして、黒豹と呼ばれる佐野日大ラグビー部員がここにいる・・・