ジャイアンツが毎年優勝が当たり前であったV9時代と言われたころ、ドラマやアニメの世界では
柔道・バレー・テニス・野球 もちろんラグビーなどスポーツ根性ものと言われた作品が多く次々発表された。
子供達皆が、”テレビばかり見ていないで勉強をしなさい”と母親に頭をゴツンと叱られた時代でもあった。
高度成長時代の真っ只中である。
特に私が好きな作品は、1972年に故ちばああきおさんが書かれた野球漫画”キャプテン”である。
名門中学野球部の2軍の補欠で毎日草取りしかしていなかった主人公は、
転校先の中学でレギュラーと間違われたことから
少しでもうまくなろうと影で直向きに努力し不屈の闘志を見せる。
先輩達に見守られ後輩や同期の傲慢や慢心を諫め反感を買うこともあるが
自分に厳しく、決してあきらめず捨て身で向かっていく姿で
自然に周りの人間をまとめチームが一丸となり本来持っている以上の力を発揮する。
4代に渡る名も無い野球部が部員それぞれの欠点を克服し
強豪校になっていく過程の物語である。
努力と友情そして信頼を深めアイデアを駆使しボロボロになりながら1勝1勝勝ち
決勝に上り詰めながら野球が出来無くなるほどの怪我を指におう。
動かない指であっても決して諦めず戦い抜く姿・・・・・
栄光と挫折を如何に乗り越えるのか
幼かった自分も主人公の生き方を信じた・・・・・・

卒業生父兄を代表して母は言った
2人の子供が佐野日大に入学し、5年間ラグビー部にお世話になりました。
次男がどこの高校に進学しようか考えていたとき、一番心配したのは
長男であった。
兄から聞いていた勝ちたいと思う気持ちと同時に
先輩から受けてきた思いやりの心がラグビー部にあることを・・・
そして弟も親元を離れ同じ道を選んだ。
一緒に居られない寂しさはあっても、後輩の面倒を見る精神は
子供を安心して成長させるに十分過ぎるものでした。
監督の指導のもとに、次々と次の代に受け継がれる伝統になりました。
これからも後輩たちは、良き伝統として永く守ってほしいのです。


新キャプテンになった後輩は、送別の言葉を述べる。
しかし、涙で言葉にすることが中々に出来無い。
3年生のあちらこちらから、”頑張れ”と声がかかる。
自分が私生活や寮生活の中で、悩んだとき
いつも先輩が一緒に居てくれた。夜遅くまで先輩の部屋に行き、話を聞いてもらった。
自分にキャプテンの資格があるのか。ラグビー部のことを考えた。
一人一人の個性についても話し合った。
私生活で悩んだことは、不思議と全部話せたし受け止めてくれた。
全ての思い出が涙となり、言葉に詰まった。
言葉として伝わらなくても、彼以外の会場出席者全員の心に何があったのか
十分すぎるほど伝わった・・・・・
送別の言葉が終わると卒業生は、そっと近づき頭を撫で
彼の首に片手を廻し自分の胸に泣き顔を引き寄せる。
先輩との別れは、こんなにも悲しいものなのか

卒業する3年生を代表して前キャプテンが挨拶をした。
寮生活を始めた1年生のある朝、何時もより早く起きた。朝ごはんまでには時間がある。
3年生の先輩が朝の散歩に誘ってくれた。近所を少し歩くだけと思った。
散歩している道端に沢山の大きなゴミが落ちていた。
先輩は、それを拾いだしたのを見て自分もあとに続いた。
普通の散歩では無くなった。
30分が1時間になり、1時間が1時間半となった。
誰に言われるのでもなく、黙々と拾った。
やっと片付いたとき、自分は思った。
こんな先輩になりたい
ラグビーの世界だけでなく、人から尊敬してもらえる人になりたい

やがて時がたち、いつの日か同期の仲間も加わりゴミ拾いをするようになった。
自分達の寮の近くだけでなく、駅周辺も行うようになった。
誰に褒めて貰いたいわけじゃない
今、自分達に出来ることをしたいだけなんだ。

同期皆がそろって、掃除を終えた後に美味しく朝ごはんを食べている姿を容易に想像できる。
キャプテンだけでなく、皆が思っただろう
尊敬される大人になりたいと・・・・・

現実の世界の中にある佐野日大ラグビー部の部員達が
何故か”キャプテン”に登場する部員達と重なった姿と思えてくる。

爽やかな姿に、佐野日大ラグビー部の進化を改めて信じて見たいと思えた。
拍手のトンネルの中を、会場を退出する3年生のそれぞれの眼は
会場の照明のためであろうか、キラキラと光り輝いて希望に満ちているように見えた。
また、会おう 皆で

ご卒業おめでとう